読書ルーム
2001年11月に読んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
ウッドストック行最終バス |
Last
Bus to Woodstock |
コリン・デスクター |
ブリキの自動車 |
Tinplate |
ネヴィル・スティード |
黒い家 |
− |
貴志祐介 |
森を抜ける道 |
The Way Trough the Woods |
コリン・デスクター |
「ウッドストック行最終バス」は、モース警部シリーズの1作目にあたるものです。適度なユーモアーと推理の展開がいいですね。
「ブリキの自動車」は、玩具のアンティーク・コレクションをめぐる盗難事件に巻き込まれた玩具商が、事件を解決していく物語。日本でもブリキの玩具は、お宝ですが、イギリスでも同じようなものなんですね。
87年度英国推理作家協会新人賞受賞
「黒い家」は、生命保険殺人に生命保険会社の社員が巻き込まれていく物語。一気に読み込める小説ですが、なんともいえない恐怖の物語。映画化もされています。
第4回日本ホラー小説大賞受賞
「森を抜ける道」は、モース警部シリーズで、休暇中に読んだ新聞の投書欄から始まる物語は、モース警部がまたまた活躍します。
出張中の往復の新幹線の中で読んだんですが、前の座席の背網の中に忘れてきてしまいました。
92年度ゴールドダガー賞受賞
2001年10月に読んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
囚人同盟 |
The
Getbacks of Mother Superior |
デニス・リーマン |
マイン |
Mine |
ロバート・R・マキャモン |
檻 |
− |
北方謙三 |
「囚人同盟」は、作者であるデニス・リーマン自身、囚人という立場で書かれた刑務所に収監されている個性溢れる囚人たちの物語。
ただ、刑務所ものとしては、スティーブン・キングの「刑務所のリタ・ヘイワース」や「グリーン・マイル」にはかなわないところがあります。
「マイン」は、狂気じみた女性を主人公としているところはキングのミザリーを思い出させますが、60年代のヒッピー時代を生きた女性と80年代のヤッピー時代を生きている女性を対極においているところに面白さがあります。
「檻」は、まさにハードボイルド小説といわれるものでしょう。やくざの世界から堅気になった男がまた再びもとの世界に戻っていくという図式ですが、前だけを見ていくという前のめりの人生が見事に描かれています。この小説のタイトルを見せ付けられてしまうと、やるせない気持ちになります。
第1回日本冒険小説大賞受賞
2001年10月に本棚に並んだ本
2001年9月に読んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
敵手 |
Come
to Grief |
ディック・フランシス |
チャーム・シティ |
Charm City |
ローラ・リップマン |
黄金を抱いて翔べ |
−
|
高村薫 |
「敵手」は、「大穴」「利腕」に登場したシッド・ハレーが三度登場します。放牧中の馬の脚が切断されるという卑劣な犯罪が連続して発生し、犯人を追い詰めていく物語。意外ともいえる人物が容疑者として浮かびあがり、シッドはマスコミの批判を浴び、また、自身も生命の危険に晒される。
96年度MWAエドガー賞受賞。 「チャーム・シティ」は、元新聞記者で調査員をしている主人公テスが、没になるはずであった記事が何者かの操作によって新聞に掲載されてしまった調査を依頼される。その対象となった人間が死亡。自殺と簡単に片付けられない。また、伯父が襲われ、グレイハウンドを預かった途端に謎の男達に付き纏われるようになる。
98年度MWA、PWA最優秀ペーパーバク賞受賞。 「黄金を抱いて翔べ」は、銀行の地下金庫から金塊を盗み出す計画を立てた男たちが、それらの人生の背景を絡ませながら実行にうつしていく物語。高村のデビュー作。
90年度日本推理サスペンス大賞受賞。
2001年8月に読んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
直線 |
Straight |
ディック・フランシス |
検察捜査 |
−
|
中嶋博行 |
「直線」は、宝石商である兄が突然の事故死をしたことにより、その事業を引き継いだ競馬の騎手である弟が兄の死の謎と所在不明のダイヤの行方を探す孤軍奮闘の物語。通常は、離れ離れになっている兄弟でも、その絆は深いというところが描かれています。
90年度文春ランキング10位
「検察捜査」は、日弁連の会長選挙に出馬予定である大物弁護士が拷問の上殺害され、犯人の動機はなにか、また、選挙がらみの殺人なのか他に理由はあるのか、女性検察官を主人公に展開されるスピード感溢れる物語です。
94年度文春ランキング1位、江戸川乱歩賞受賞作
2001年7月に本棚に並んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
敵手 |
Come
to Grief |
ディック・フランシス |
ゴーリキー・パーク |
Gorky
Park |
マーティン・クルーズ・スミス |
永遠の仔 |
−
|
天童
荒太 |
2001年7月に読んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
とても私的な犯罪 |
A
Very Private Enterprise |
エリザベス・アイアンサイド |
レディ・ジョーカー |
−
|
高村
薫 |
「とても私的な犯罪」は、インドを舞台とした冒険浪漫小説とも言えるものでしょうか。インディ・ジョーンズに代表される冒険映画と質を同じにしています。
85年度英国推理作家協会最優秀新人賞受賞 「レディー・ジョーカー」は、社長を誘拐し企業を強請るというグリコ・森永事件を思い起こさせる犯罪小説です。企業の中で事件に翻弄される人物、刑事、犯人とそれぞれの人物像が鮮明に描かれています。
98年度このミス1位
2001年6月に読んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
ジェリコ街の女 |
The
Dead of Jericho |
コリン・デスクター |
ボーン・コレクター |
The
Bone Collector |
ジェフリー・ディーヴァー |
3月から5月は、仕事が忙しかったということもありますが、スランプであった事もあります。
6月になってまた読書を再開しました。
「ジェリコ街の女」は、モース警部シリーズの中の一冊で、モース警部がパーティーで出会った女性の自殺とそれに関連すると思われる殺人の謎に挑む物語。
81年度シルバーダガー賞受賞作
「ボーン・コレクター」は、デンゼル・ワシントン主演で既に日本でも映画が公開されていますが、その原作です。ほぼ、映画は原作とおりに制作されています。実は、映画の方を先に観てしまいました。
半身不随の鑑識官と連続殺人犯との戦いを描いた、なかなかスピード感のある小説です。反面、本当は証拠分析はもっと難しいのはないかなと思ったりもします。証拠からの犯人の割り出しは、証拠そのものの物理的な分析と鑑識官の経験と知識と感とが総合的に融合して出来るものではないでしょうか。そういう意味では、主人公に対してスーパー鑑識官としての立場を与えているようです。
異常な殺人方法をする犯人というと、レクター博士や映画セブンに出てきた犯人(ケビン・スペイシーが好演)が思い浮かぶのですが、そういう意味だと、犯人そのものに対してスポットが与えられておらず、その異常性がいまひとつでした。善玉対悪玉という対立構造よりも、善玉に重心を置いた作品ですので、そういう意味では健全な(?)小説です。
99年度文春ミステリーランキング1位
2001年2月に本棚に並んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
鉄の枷 |
The Scold's Bridge |
ミネット・ウォルターズ |
ボーン・コレクター |
The Bone Collector |
ジェフリー・ディーバー |
魔弾 |
The Master Sniper |
スティーブン・ハンター |
囚人同盟 |
The Getbacks of Mother
Superior |
デニス・リーマン |
蝦夷地別件 |
−
|
船戸 与一 |
2001年2月に読んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
殺し屋 |
Hit Man |
ローレンス・ブロック |
死体のC |
"C"
is for Corpse |
スー・グラフトン |
「殺し屋」は、幾つもの名前をもつ殺し屋「ケラー」を主人公とした連作短編集です。殺し屋というと、殺しを生業としているということで、日本ではさいとうたかをの「ゴルゴ13」のようなニヒルなスナイパー、池波正太郎の人情派の「梅庵」の二系統に分類されるような感がありますが、ケラーは、どちらかというと梅庵に近いでしょうか。エージェントから依頼を受けて、どこにでも出かけていって殺してくる。ただ、梅庵が延髄に針を刺すという一つの方法に特化しているのに比べると、かなりバラエティーに富んだ方法を使うということに特徴があります。まぁ、小説を面白くするためには、いろいろな手口のほうが良いということでしょう。現実には、殺し屋という職業があるのかどうか分かりませんが、中年男性としては、人間としてのケラーに共感を覚えるところもあります。結構常識人だったりしています。
本書収録の「ケラーの治療法」と「ケラーの責任」は、MWA最優秀短編賞の受賞作です。
「死体のC」は、タフな女性探偵キンジー・ミルホーンを主人公にしたシリーズ第3弾です。このシリーズは、タイトルがアルファベット順に並んでいます。貧乏だが筋を通す女性が主人公ですが、いわゆるハードボイルド小説の部類に入るでしょう。南カルフォルニアが舞台ということもあり、からっとした読後感です。
アンソニー賞受賞作・・・・以上報告します
2001年1月に本棚に並んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
視聴率の殺人 |
Killing in The Ratings |
ウイリアム・L・デアンドリア |
ダークハーフ |
Dark Half |
スティーブン・キング |
夜の記憶 |
Instruments of Night |
トマス・H・クック |
漂流街 |
− |
馳 星周 |
夜光虫 |
− |
馳 星周 |
鎮魂歌 |
− |
馳 星周 |
検察捜査 |
− |
中嶋 博行 |
呪縛 |
− |
高杉 良 |
バースデイ |
− |
鈴木 光司 |
OUT |
− |
桐野 夏生 |
十三番目の人格 |
− |
貴志 祐介 |
黒い家 |
− |
貴志 祐介 |
レディ・ジョーカー |
− |
高村 薫 |
破線のマリス |
− |
野沢 尚 |
死の泉 |
− |
皆川 博子 |
2001年1月に読んだ本
書
名 |
原
題 |
作
者 |
リング |
− |
鈴木 光司 |
らせん |
− |
鈴木 光司 |
ループ |
− |
鈴木 光司 |
氷の闇を越えて |
A Cold Day in Paradise |
スティーヴ・ハミルトン |
泥棒は詩を口ずさむ |
The
Burglar Who Liked to Quote Kipling |
ローレンス・ブロック |
シマロン・ローズ |
Cimarron
Rose |
ジェイムス・リー・バーク |
「リング」「らせん」は、大ヒットした映画の原作です。バンガローにあったビデオテープを見た若者が1週間後に同時に死亡する事件と、それを追うルポライターと友人がそのなぞに挑むうち、自分たちもその謎に巻き込まれてしまう。映画では、人物設定が変更になり、ビデオテープを残した人物(山村貞子)に焦点があてられていましたが、原作では、ビデオテープと遺伝子の関係に重点が置かれています。「らせん」で、ビデオテープとしての役割が、解明されています。
「ループ」は、「リング」「らせん」で語られなかった部分を埋めることになります。
「氷の闇を越えて」は、警官を退官した私立探偵が、退官のきっかけとなった犯人の復讐を受けるストーリー。ここまでですと、マット・スカダーシリーズの「墓場への切符」と同じようなストーリーとなってしまいますが、こちらでは、犯人は刑務所での受刑中のはずであるというひねりがあります。
99年度MWA、CWA最優秀処女長編賞をダブル受賞。
「泥棒は詩を口ずさむ」は、泥棒バーニィを主人公としたシリーズの中の一冊。
ローレンス・ブロックというと、アルコール中毒から抜け出そうと必死の元警官の私立探偵マット・スカダーがその暗さから、独自の世界を展開していたのですが、この泥棒バーニイは、180度違うまったくネアカの主人公です。マット・スカダーがアル中になったきっかけも、その真面目さがなせるところで共感を呼ぶところですが。バーニイは、反社会的行動をとるわけですが、どうも、憎めないところがあり、読んでいてニヤリとしてしまいます。ここは、ルパン3世が人気があるところと同じ感覚でしょうか。
泥棒バーニイを主人公にしたもは、シリーズ化されていますが、本書は、その3作目の作品のようです。本書では、バーニイの表稼業の古本屋を舞台に物語が展開します。勿論、泥棒ですから盗みに入る部分もあるのですが、殺人に巻き込まれ、それをどうやって解決するかが読みどころとなります。
78年度ネロ・ウルフ賞受賞作。
「シマロン・ローズ」は、テキサスレンジャーであった弁護士を主人公としたハード・ボイルド。かつての相棒を捜査中に誤射してしまったこと、自分の息子が他人の子供として育ちつつも、関わりを持っていること。
その息子がレイプ犯として嫌疑をかけられたところから物語は始まるのですが、アメリカ小説は父子関係が伏線となっている物語が多いですね。
98年度MWAエドガー賞受賞作。
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